5 - 7 - 5 - 7 - 7 ?

ゆうべには私の肌で泳いでたあなたの手をいま俯瞰で見ている
溶け出したい、夏の最中のバニラのように しつこく甘く舌先で泣く
さよならとありがとうだけこだまする ほかには何もほかには何も
目を閉じて きっかり三秒数えたら この手のひらはきっと軽くなる
忘却を誓っただけでさよならができたのならばどれほど楽か

初めてをそして最後を何もかも 捧げたいとさえ望んだはずが
息をする 知られぬように恋をする 叶うその日が遠ざかっていく
口先で 知ったかぶりで たわごとで 僕は君にはかなわないのだ
頬の色 くちびるの色 指の色 白黒で染まる冬の追憶
強くない弱くもなれない苦しさで 首の根っこに 今 手をかけて。

帰り道 とぼとぼ歩く狭い背に どうかお願い魔法をひとつ
花びらを 一枚捨ててしまったら もとのきみにはもう戻れない
その話 帰ってからじゃ、だめなのか きょうの花火すら終わらないのに
この夜の尽きが疎ましいばっかりに頭のなかで太陽を殺す
もう一度おんなじ夢を見たいはず 花のにおいの明日ではなく

だあれもさ、取りに行かない忘れもの「いつか」なんて真っ赤な嘘だよ
どうせならダイヤモンドで怪我をしたい きっときれいな流血になる
大人だけ数えられる数字がある 君には早いね ワン、ツー、スリー
きみが厭う傷口をあえて開いてみたい こんな僕をどうか断じて
目の裏に焼き付いてもう離れない幸せな終わりかただけ与えたかった

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